取材・構成・文

ITジャーナリスト

大西高弘

 

2018年10月に開催された「Dell Technologies Forum 2018 Tokyo」では、データ保護ソリューションに関する併設セミナー「Dell EMC Data Protection 最新ソリューションセミナー」が開かれた。同セミナーでは、関電システムソリューションズ株式会社による導入事例講演、Dell EMCが考える次世代型のデータ保護戦略に加え、新しいサービス、そして、最新のコンバージドインフラ製品などが紹介された。またヴイエムウェア社との共同セッションにて、まもなく日本に上陸する「VMware CloudTM on AWS」及び同サービスに対応したDell EMCのデータ保護サービスについても紹介された。そこで、同セミナーの各セッションの概要を解説する。

 

●「Dell EMC データ保護ソリューション 最新の戦略とは」

 

n1.jpgDell EMC

データ プロテクション部門

APJプリセールス 統括ディレクター

Yeong Chee Wai(ヤン・チー・ワイ)

 

かつて全世界で生成されるデータの量は「2020年までに44ゼタバイト」と言われていました。しかし最新の調査によると「2025年までに163ゼタバイト」になるとされています。増加の一途をたどるデータ量への対応もさることながら、組織はデータに対する考え方も大きく変えることを求められています。

 

現在のビジネスでは、まずスピード感のある対応が求められています。データの活用においても、安全に効率的に運用管理すると同時に、素早く事業部門が利用できるようにインフラを整えなくてはなりません。つまりデータ保護はビジネス成果の優劣にも大きく影響するようになっているのです。

 

データのオーナーシップは、IT部門から業務部門へと移りつつあります。業務部門は、新しいデータ活用インフラの構築に数週間、数カ月かかるという状況を決して容認しません。したがって、当然データ管理はクラウドを活用することが必然となっています。そうしなければ、急速化するビジネスサイクルに対応できないのです。

 

このような変化に対し、Dell EMCでは、以前から準備を進めてきました。そして、パブリッククラウドやプライベートクラウドを活用し、数時間でデータ保護インフラを構築できるサービスを提供できるようになりました。このインフラは、サイバー攻撃に対して強い防御力を持ち、万が一破壊的な被害を受けても、簡単にビジネスを復旧できるものです。このことで、Dell EMCのソリューションを利用する組織は、データを守るだけでなく、社会的な信用など、金銭だけでは表せない価値を維持できるようになります。

 

また、Dell EMCの最新のデータ保護ソリューションは、低コストで、要求されるキャパシティを50%減らし、ネットワークの帯域を95%削減します。もちろん、管理の負荷も大幅に削減しています。さらにVMwareとの技術的な連携を密にし、仮想環境でのバックアップ環境を統合しています。

 

 

●「クラウドの賢い使い方はデータ保護にあり 今から使えるクラウドソリューション データ保護ソリューション」

 

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Dell EMC

データ プロテクション部門

APJクラウドデータ保護ソリューション 統括

Jerry Vochteloo

 

現在、多くのユーザーが、「データセンターでやっている管理をクラウドでやり たい」「オンプレミスのサービスをクラウドに移行して自動化したい」といった 希望を持っています。また、「災害対策を目的としたデータ保護をクラウドに  よって安価に簡単に実現したい」というものもあります。

 

これらのニーズをまとめると、データ保護において、クラウドライクなコストと ケーパビリティをどう実現するのか、ということになるでしょう。

 

ユーザーの中には「もうデータセンターは持ちたくない」「少なくとも、これ以上はデータセンターを増やしたくない」という人が多く存在しています。では、それをどのように実現するのか。例えば、パブリッククラウドの利用がすぐに思いつきそうですが、もし、オンプレミスのクラウド環境でこれが可能だったらどうでしょう。

 

Dell EMCでは、オブジェクトベースのストレージをオンプレミスで提供しています。このギガバイト単価は1カ月あたり1.3セントです。つまり、一般的なパブリッククラウドサービスよりも安いのです。また、Dell EMCでは新しいコンバージド型のアプライアンスも提供しています。この製品はDell EMC Data Domainも格納しており、クラウドへ階層可能な192テラバイトを含む最大288テラバイトまで重複排除したデータを格納できます。このように、クラウドだけでなく、さまざまな製品、サービスを活用することで、さらに低コストに、長期保存を義務付けられているデータを保護することができます。

 

クラウドの活用で注意しなくてはならないのが、クラウドからデータを引っ張ってくるにはコストが高くつく、ということです。これは、クラウド上に設置しているサーバーの利用料金が高くなるからです。そこで当社では、クライアントからクラウド上のサーバーを介さず直接ストレージ格納する方法をお客様に紹介しています。この仕組みは、エージェントを仮想マシン上に載せ、そのエージェントが直接、S3などクラウドオブジェクトストアに書き込むという仕組みを採用しています。

 

また、スナップショットのライフサイクルを管理することも重要です。パブリッククラウドでは、スナップショットを何百、何千も作成するとそれだけでコスト負担が大きくなります。そしてこうしたパブリッククラウドのサービスでは、スナップショットを削除することができません。そこで、当社では「Dell EMC Cloud Snapshot Manager」というものを提供し、スナップショットの自動作成、削除を可能にしています。

 

このようにデータ保護用にクラウドを活用する場合も、ちょっとした工夫で、より効率的に、低コストで運用することが可能になります。

 

 

●「Azureでも利用できる、Avamarバックアップ」

 

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 関電システムソリューションズ株式会社

 ITサービス事業本部

 ITサービス基盤技術部

 ITサービス企画グループ

 テクニカルプロフェッショナル

 西川浩史氏

 

 

 

 

 

 

当社では、2018年8月からMicrosoft Azure、Dell EMC Avamar Virtual Edition、Data Domainを活用した「バックアップサービス」を展開しています。このサービスには、Dell EMC Avamar Virtual EditionとData Domainを活用しています。サービスを開発したきっかけは、ランサムウェアの脅威にはエンドポイントでのバックアップが不可欠だと考えたからです。

 

n9.jpgサービスの開発で、留意した点は、バックアップ時間とネットワーク負荷の削減でした。また、ユーザー自身でデバイスのリストアが完了できることも条件でした。AvamarとData Domainについては、以前から知っていましたが、今回のサービス開発でも試験を繰り返す中で、優秀な結果を出してくれ、そのままサービスインとなりました。重複排除率も、初回のバックアップ時は50%程度でしたが、データが増加するにつれ、99%まで実現されています。

 

AvamarやData Domainのライセンスはクライアントの数に依存するのではなく、バックアップデータ量に応じたライセンス体系となっています。そもそも重複排除機能でバックアップデータ量の増加自体を抑制することができるので、この点もお客様には大きなメリットとなるでしょう。

 

現在展開しているサービスは、お申込みをいただいてからヒアリング、設定の作業も含めて3週間程度で利用開始できます。もし、オンプレミスで同様のバックアップ体制を構築しようとすれば、半年(26週間)程度はかかると思います。データ保護を素早く、確実に実行したいお客様からすれば、半年という期間はかなりの重荷となるはずです。仮想アプライアンスを活用したサービスで「バックアップ問題」を解決してもらえるよう、今後も、多くのお客様に利用していただきたいと考えています。

 

(参考情報)

■ウイルス対策だけでは守れない、ランサムウェア等の脅威からデータを守るクラウドバックアップサービスを構築 AVAMARとDATA DOMAINで実現

 

■KS Solクラウドソリューション

 

■CIERTO/Hybrid Cloud with Microsoft Azure

 

●【実演デモ】最新コンバージドインフラ「DP4400」は本当に「シンプル」なのか?

 

n4.jpg Dell EMC EMCジャパン株式会社

 DPS事業本部

 SE部 シニアシステムエンジニア

 小川達彦

 

 Dell EMCでは、この7月にコンバージドインフラ「DP4400」をリリースしました。こ の製品は、Dell EMC PowerEdgeサーバーをベースにバックアップ管理サーバーや重複 排除機能を持ったストレージ、システム管理ツールなど、必要なものはすべてそろえ ている製品で、クラウドとの接続も簡単に行えます。そのため、導入してから短時間 で、クラウド上にDRサイトを構築して、利用することもできます。データの格納能力は最大で96テラバイト。このデータは重複排除された後のデータですから、実際にはその数十倍ものデータを格納できます。また、クラウドストレージ上には最大192テラバイトまでの重複排除済データを保管できます。

 

この製品のキーワードは「シンプル」。例えばハードウェアの増強は必要ありません。すでに必要なハードウェアは全て筐体内に用意されており、増強したい場合は増設ライセンスのみを購入いただき、ライセンスキーの追加のみで、すぐ拡張できるという仕組みです。

 

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設定もシンプルです。必要な情報さえ把握していただければ、ウィザードに従って入力していただけるので専門知識はいりません。入力のエラーチェック機能もあるので、混乱してしまうこともないのです。

 

「DP4400」の管理画面は驚くほどシンプルです。必要なことはこの画面ですぐに確認できます。また、構成の管理、アプリケーション追加もアプリケーションコンフィグレーションマネージャー(ACM)を利用して簡単に設定、確認を行うことができます。そのため、導入は数時間で済ませることができ、すぐに利用を開始できます。

(司会を担当していた女性社員がいきなりの実演でも成功)

シンプルなのは初期設定に限らず、その後の運用管理も非常に簡単です。IDPAシステムマネージャーを使えば、Data Domainなど格納されている複数のコン

ポーネントを、単一インターフェイスから統合的に管理できるので、            

新たなツールを加えることはかなり少ないはずです。ぜひ一度、まずは最初の設定作業などを体験いただいて、そのシンプルさを実感していただきたいと思います。

 

参考情報

Dell EMC、データ保護コンバージドアプライアンスのエントリーモデル「Dell EMC IDPA DP4400」を発表 シンプルで強力、かつ保護コストの最小化を実現する新製品

 

■コンバージド化されたデータ保護の導入作業とは?:DP4400の導入作業紹介

 

●「まもなく日本上陸『VMware Cloud on AWS』と、Dell EMCデータ保護ソリューションの“Better Together”とは?」

 

 

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ヴイエムウェア株式会社

パートナーSE本部 パートナーSE部

シニアシステムエンジニア

下村京也氏

 

Dell EMC EMCジャパン株式会社

DPS事業本部

シニアビジネスデベロップメント
マネージャー

西頼大樹

 

 

(下村)VMwareとAWSは、2017年に「VMware Cloud on AWS」の提供を発表しました。このサービスは、日本でのサービスはもうすぐですが、簡単に説明すると、AWSのインフラの上にVMwareのさまざまなテクノロジーを乗せたものです。しかもAWSの仮想化基盤の上にVMwareの仮想マシンを入れるのではなく、AWSのデータセンターにあるベアメタルのインスタンスに搭載します。そのため、このサービスは他のユーザーと共有するのではなく専用のインフラとして活用できます。

 

また、ベアメタルのインスタンスに搭載することで、AWSのサービスをインターネット回線で利用するのではなく、データセンター内のネットワークを経由します。そのためレイテンシを気にする必要はありません。

 

さらに、従来、オンプレミスで稼働していたVMをEC2のインスタンスに移行する場合、仮想マシンやアプリケーションの変更作業などが発生することがありました。しかし、「VMware Cloud on AWS」では、「ハイブリッドクラウドエクステンション」というツールを活用し、そのまま、移行できます。もう、移行先のVMware vSphere®のバージョンなどを気にすることもありません。

 

n7.jpg(西頼)Dell EMCでは、データ保護ソリューションに関するクラウドへの対応につい て3つの点を重視して製品・サービスの開発を行ってきました。それは、「データ の効率的な階層化」「クラウド上にターゲットを作ったうえでのレプリケーショ ン先の確保」「災害対策を考慮した簡易的なDRの構築」の3つです。

 

今回、まもなく「VMware Cloud on AWS」が日本に上陸することで、Dell EMCで は、ファースト・サイト(オレゴンリージョン)立ち上げ当初からの戦略的パー トナーとして、展開済みの他リージョンと同様に、VMware Cloud on AWSをこれ から日本で利用するお客様にも最初から同サービスに最適化されたDell EMCの  データ保護を導入いただける準備を進めてきました。「VMware Cloud on AWS」 を利用するお客様が、データ保護を実行する際、オンプレミスでVMwareの環境を 利用していたのと同じようにバックアップが可能になるようにしていきます。

 

この目的を達成するため、Dell EMCでは、同クラウド内でデータ保護ソリューションを使う際、「VMware Cloud on AWS」と同じスタイル:ホスト課金によるサブスクリプションでサービスとして購入できる仕組みを準備しています。つまり、「VMware Cloud on AWS」をサービスとして購入した際、同様にデータ保護ソリューションもご購入いただく形にしていこうとしています。パブリッククラウドをバックアップに使っているお客様は、日本でもかなり増えてきました。そうした状況を踏まえ、当社では、お客様がよりシンプルに、高度なデータ保護を実現できるよう努力してまいります。

 

(参考情報)

■ヴイエムウェア、VMware Cloud on AWSの日本市場での提供を発表

 

Dell EMC、「VMware Cloud on AWS」向けのデータ保護ソリューションを提供開始

 

 

●着実に進化し続けるデータ保護ソリューション

 

5つのセッションを通じて感じられたのは、組織の規模を問わず、ITインフラはクラウドの活用も含めて「シンプル化」していっているということだ。あと10年もすれば、個々の企業が大規模なデータセンター事業者と契約し、人員とコストをかけて管理していたということは完全に過去のものとなってしまうのかもしれない。さらに言えば、ハイブリッドクラウドが当たり前となり、データの保護、管理もかなり自動化されていくように思う。そこで重視されるのは、確かな保護ソリューションを採用し、パブリッククラウドでのデータ保護を着実に実行できる、製品やサービスを活用することだろう。

 

 

 

 

 

【シリーズ:新時代のデータ保護】

1回:DellEMCDNAを融合させたData Domainシリーズの最新版「Data Domain DD3300」の魅力とは?

2回:最新のデータ保護アーキテクチャを適正なコストで構築するための秘訣

3回:今後、データ保護ルールの新デファクトスタンダードになる可能性もあるEU一般データ保護規則(GDPR)

4回:サイバー対策の最新トレンド「サイバー復旧」とは何か?

5回:Dell EMC、データ保護コンバージドアプライアンス「IDPA」のエントリーモデル「DP4400」を提供開始 シンプルでパワフルなデータ保護機能をより身近に

6回:今後拡大が見込まれる「パブリッククラウドを活用したデータ保護」ユーザーが留意すべきポイントとDell EMCデータ保護の戦略

第7回:【特別編】Dell Technologies Forum 2018 – Tokyo イベント特集 パート1:デジタルトランスフォーメーションを支えるデータ保護の重要性

第8回:【特別編】Dell Technologies Forum 2018 – Tokyo イベント特集 パート2: ビジネス貢献度の高い「次世代型データ保護戦略」とは?