【全6回シリーズ5/6 新時代のデータ保護】

 

Dell EMCは、2018年7月、統合データ保護アプライアンス「IDPA(Integrated Data Protection Appliance)」シリーズの最新モデル「DP4400」の提供を発表した。この製品は既存のIDPAシリーズの各製品の中では価格を抑えた「エントリーモデル」として位置づけられる。このことで、データ保護関連の全体コスト、特に運用コストに悩むユーザーも、より身近にハイレベルな重複排除機能やマルチクラウド環境でのシンプルな運用プロセスを利用できるようになる。そこで、今回はこの製品に深くかかわったDell EMCのTan Jit Chuan氏に話を聞いた。

Tan Jit Chuan

Dell EMC

Field CTO

APJ DPSチーフアーキテクト

 

今回市場投入した統合データ保護アプライアンス「IDPA(Integrated Data Protection Appliance)」シリーズの最新モデル「DP4400」は、「IDPA」シリーズの中で初のエントリーモデルとして位置づけられます。そのため、IDPAが提供するシンプルでパワフルなデータ保護機能を、より身近に利用できる製品といえるでしょう。

 

まず、DP4400のお話しを始める前に、なぜDell EMCがIDPAの提供を始めたかについて、お話しさせてください。

 

みなさんもご存じの通り、世界中で発生しているデジタルデータは、IDCの調査によると、2013年の4.4ゼタバイトから2020年には44ゼタバイトに増加するといわれています。

 

この爆発的な増加は、おそらくみなさん自身も実感していることではないでしょうか。組織で蓄積運用するデータ量は、毎年予想を上回る勢いで増え続け、それに対応するためのストレージコストはどんどん膨らんでいきます。それだけでなく、IT環境の変化から、データ保護の運用も複雑化し、思うようにデータ活用が進まないといった状況も出ているのではないでしょうか。

 

IT環境の変化、というものをもう少し具体的に考えてみましょう。

 

最大の変化はクラウドです。Dell EMCの調査でも、85%のエンタープライズ企業がマルチクラウド環境を目指しており、70%のCIOが、クラウドファーストの方針を掲げています。

 

これは、何を意味しているのか。データ保護の観点からいえば、従来の各部門、縦割りで行っていたデータ保護体制を切り替え、クラウドを活用しながら、あらゆる部門、部署、事業所などで発生するデータを統合的に管理するということになります。

 

このことで、ストレージなどのハードウェアから、管理ソフトウェア、そして運用担当者などの人的コストまで、可能な限り適正化することができます。また同時に、データ管理の壁を取り払うことで、より活発なデータ活用が実現するのです。

 

しかし、ここで新たな問題が発生するようになりました。

 

それは、クラウドも含めたITインフラの複雑化です。縦割りのデータ保護体制を低コストで変更するには、クラウドの利用が欠かせません。しかし、クラウドにはプライベートクラウド、パブリッククラウドの2種類があり、マルチクラウド体制ではこの両方をうまく活用していくことになります。そして、ITインフラには既存のオンプレミス環境もあり、これらを上手に組み合わせて、新しいデータ保護体制を構築していかなければなりません。

 

●マルチクラウド時代に求められるデータ保護体制のありかたとは?

 

たとえば、使わなくなったが廃棄することはできないデータを、利用料金がリーズナブルなパブリッククラウドのストレージサービスに移行する、ということが多くの企業で行われるようになりました。

 

しかし、一定のルールに基づいて自動的に古いデータをクラウドに移行できなければ運用プロセスが属人化してしまいます。さらにデータをパブリッククラウドに送信するコストや時間も考えなければなりません。そしてパブリッククラウドが安いといっても、データをそのまま保存しているのでは、やはり利用コストは次第に負荷となってきます。また、その古いデータを利用する必要が発生したときに、どれくらいの時間で社内システムに戻すことができるのか、ということも考える必要があります。

 

それからもう1つ、パブリッククラウドを災害対策(DR)用に利用するということも、昨今のトレンドになっています。この場合、データも含め、仮想マシンをコピーしてクラウド側に保存するわけですが、フェールオーバー、フェールバックを適正に実行できるか、ということも確認しておく必要があります。また、DRサイトの運用は別の管理製品で実行するしかない、というのでは、非常時の運用という意味で不安視されることになるでしょう。

 

「IDPA」がなぜ生まれたか、という背景には、こうした多様な環境でのデータ保護をできるだけシンプルに行いたいというニーズがあります。

 

将来のデータの増加量を予測したうえで、相当の期間対応でき、しかも予測外のIT環境の変化があっても追加のコスト負担は最小限。これこそ、当社のお客様が求めるデータ保護コンバージドアプライアンスなのです。

 

●2Uというコンパクトなアプライアンスが複雑な環境下でのデータ保護を実現

 

「DP4400」は、そのプラットフォームにDell EMC PowerEdgeサーバを採用し、さらに最新のNVMeフラッシュテクノロジーを活用しています。これにより、バックアップ、リストアのスピードも大幅に上がりました。ストレージ容量はオンプレミスで24テラバイト~96テラバイト、クラウドに追加で192テラバイトまで拡大できます。この容量は、2Uというサイズで提供可能な容量として、同クラスの他社製品よりも20%大きなものです。

 

最小構成の24テラバイトだけでなく、どの容量でスタートしても、それ以上の利用が必要なときは、追加のライセンスをお支払いいただくだけで、最大96テラバイトまで拡張でき、ハードウェアを買い足す必要はありません。

 

「DP4400」は、ほかの「IDPA」シリーズと同じくVMwareの仮想環境で55:1、それ以外でも高い重複排除率を誇ります。この能力は、他社製品を大きく上回るものです。この重複排除機能があるおかげで、ユニークなデータのみバックアップされるので、クラウドへの転送においても、暗号化された状態の重複排除後データを送ることができます。そのため、生のデータをそのまま転送するのに比べて98%帯域を少なくできます。

 

そして、「DP4400」は、こうした高い機能をわずか2Uの筐体で提供します。データの保存容量が増えても2Uのままなので、データセンターのコスト低減にも貢献できます。

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また「IDPA」ではシンプルな運用を可能にすることを目指しており、お客様からも高い評価をいただいています。「DP4400」でも、シンプルで直感的に理解できる管理コンソールを用意し、データの検索も素早く実行することが可能です。

 

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●企業規模にかかわらず適正なデータ保護環境を実現できる「DP4400」

 

クラウドへの対応についても、もちろん、「DP4400」は他社製品にはない機能があります。

 

パブリッククラウドをDRサイトに活用している場合、復旧後のフェールバック、つまり一度DRサイトで運用していた体制を従来の本番環境に戻すことが必要になりますが、「DP4400」が搭載するData Domain Cloud Disaster Recovery機能が、いつでも本番環境に戻すことを可能にします。

 

現在はオンプレミスのVMware仮想OSをAWSへフェールオーバー、およびフェールバックが可能で、近々にはAzureなど他のパブリッククラウドプラットフォームもサポートする予定です。

 

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また、この製品はご購入後、数時間で利用開始することが可能なように設計されており、何カ月もかけて改めてユーザー側で設定しなおすという必要はありません。

 

さらに、運用における自動化機能も充実させて、クラウド、オンプレミス間のデータ送信も簡単に設定できるようになっています。

 

また「DP4400」は、Dell EMCのストレージをご購入いただいたお客様に対するさまざまなお約束をさせていただく、「FUTURE-PROOF STORAGE LOYALTY PROGRAM注1」の対象製品にもなっています。重複排除率はもちろん、お客様満足度などもお約束させていただき、保守コストも明確にした上で保証し、この製品にまつわるすべてのコストを透明にしています。したがって、予測していなかったコストがご購入後に発生することはありません。

 

こうしたことができるのも、当社が「DP4400」の性能について高い自負をもっているからとご理解いただければと思います。マルチクラウドの時代はすでに到来しており、会社の規模にかかわらず、多くの企業にとって当たり前の環境となりつつあります。そうした環境で、適正にデジタルトランスフォーメーションを実現するためにも、「DP4400」の活用を検討していただければと思います。

 

《まとめ》

Jit Chuan氏は、「DP4400」は、EU一般データ保護規則(GDPR)などの厳しい規制なども念頭にいれて開発したと話す。エントリーモデルといっても、データ保護機能は従来の「IDPA」シリーズとほぼ同等の能力をもつこの製品は、データ保護にまつわる追加コストも含めた関連予算を圧縮したいユーザーから、大いに注目されるものとなるはずだ。

 

聞き手・構成

ITジャーナリスト 大西高弘

※注1:Dell EMC FUTURE-PROOF STORAGE LOYALTY PROGRAM

 

参考文献:Efficiently Protect Virtual Environments with Integrated Data Protection Appliances from Dell EMC(ESG Lab, February 2018)

 

 

【シリーズ:新時代のデータ保護】

1回:DellEMCDNAを融合させたData Domainシリーズの最新版「Data Domain DD3300」の魅力とは?

2回:最新のデータ保護アーキテクチャを適正なコストで構築するための秘訣

3回:今後、データ保護ルールの新デファクトスタンダードになる可能性もあるEU一般データ保護規則(GDPR)

4回:サイバー対策の最新トレンド「サイバー復旧」とは何か?

5回:Dell EMC、データ保護コンバージドアプライアンス「IDPA」のエントリーモデル「DP4400」を提供開始 シンプルでパワフルなデータ保護機能をより身近に

6回:近日公開予定