デビッド ウェブスター(David Webster)

APJエンタープライズ担当プレジデント、Dell EMC

 

自動運転車で通勤したり、夕食の献立について冷蔵庫と会話したり、AI(人工知能)を実装したチャットボットからカスタマー サービスを受けたりする。このようなことを生きているうちに体験できるかもしれないとは、驚くべきことです。テクノロジーの発展は、以前であればフィクションだったこのようなシナリオを、もうまもなく実現しようとしています。

 

Realizing 2030_Planets_TW.jpg

これらのソリューションを現実化するために飽くことなくイノベーション(革新)を進めていく中で、私たちはマシンとの相互関係を根本から変えることになります。実際、最近デル テクノロジーズが発表した「Realizing 2030: A Divided Vision of the Future」によると、アジア太平洋および日本(APJ)地域のビジネス リーダーの大部分(80%)が、5年以内に人とマシンが統合チームとして仕事をするだろうと考えています。

 

APJ地域の企業はデジタル トランスフォーメーションの過程で新しいテクノロジーを導入しており、これらのテクノロジーがより多くの人とマシンのパートナーシップへの道筋を作り出しています。例えばAIについて、この調査ではビジネスリーダーの81%が5年以内にAIによって顧客のニーズを先取りできるようになることを見込んでいます。これは前向きで明るい結果ですが、新しいテクノロジーおよびこれらのテクノロジーが生み出す膨大な増加データから企業が最大限の価値を引き出すためには、クラウド コンピューティングへのアプローチについて正しいITトランスフォーメーションの判断をすることが欠かせません。デジタルを背景にした新たな要件によって、既存のITインフラストラクチャはたやすく打ち破られるでしょう。

 

APJ地域のビジネス リーダーとITリーダーは、残念ながら今でも過去に下した意思決定からの重荷を引きずっています。大抵の場合、クラウドの導入は幅広い戦略の一部というよりは数ある項目の1つに過ぎません。これまで長年にわたりパブリック クラウドの導入が進められてきていましたが、現在プライベート クラウドやハイブリッド クラウドへのシフトおよび多様なビジネス ニーズとワークロードに応えるクラウド サービス プロバイダとのパートナーシップが進んでいます。例えば、スピードと効率の向上という観点から一定のワークロードがオンプレミスへ戻されている一方で、パブリック クラウドは非ミッション クリティカルなワークロードに対して利用される場面が増えています。実際、IDC社はAPJ地域のエンタープライズ企業の70%以上が2018年までにマルチクラウド戦略を採用するとしています。

 

multi-cloud.pngこのようにマルチクラウドが未来の方向性であることは明らかですが、企業はこの現実がもたらす複雑さとニーズの管理について、大きな課題に直面しています。企業には、データのやり取りを簡単に行えるとともにマルチクラウド インフラストラクチャをシンプルかつシームレスに管理できる戦略が必要です。

 

このような複雑さに対処して新たに出現するテクノロジーから最大限の価値を引き出せるようにするには、コラボレーションに重点を置く必要があります。企業が最適なコラボレーティブ アプローチを確立するためにはどうすべきなのか、その方法を紹介します。

 

顧客を中心に据える

今日の市場においてカスタマー エクスペリエンスは重要な差別化要因で、新しいカスタマー エンゲージメント モデルへの移行にマルチクラウド環境が使われる場面が増えてきています。前出の調査「Realizing 2030」において、カスタマー エクスペリエンスを役員会レベルの事案として取り組むことを優先事項であるとしているAPJ地域の企業は、10社中9社近くに上ります。社内外を通じたさまざまな相手先との世話役として、IT部門およびCIOの戦略的役割が高まるのに伴い、すべての関係者が質の高いカスタマー エクスペリエンスの提供に集中できるようにすることは、コラボレーションとパートナーシップを醸成する上での助けになります。

 

applications.pngデータがすべての要であることを認識する

あらゆる業種を通じて、イノベーションの実現、高品質なカスタマー エクスペリエンス、差別化の促進における鍵となるのが、クラウド ネイティブ アプリケーションです。APJ地域のビジネス リーダーのうち、すでにアプリケーションをパブリックまたはプライベート クラウド(ハイブリッド クラウドなど)へ移行するテクノロジーに投資しているとしたリーダーが45%に上り、今後5年間で投資を行う予定であるとしたリーダーが47%に上るのも不思議はないでしょう(「Realizing 2030」調査)。

 

ただし、これはテクノロジーだけの話ではなく、適切な人材とスキルへの投資も含まれています。今日のマルチクラウドの世界では、単なるクラウド ネイティブ アプリケーションの提供の先へと進化していくためのDevOps へのニーズも出現しています。新たに出現しているさまざまなテクノロジーによってデータ量が増加している中、DataOps の到来を認識し、効果的なコラボレーション方法を見つけてデータを管理できる企業が、デジタル トランスフォーメーションを加速させることができます。

 

将来に焦点を当てたパートナーシップを組む

マルチクラウドは単なる始まりにすぎません。私の同僚でDell EMCのCTOであるジョン ローズ(John Roese)は、2018年の予測の中で、複数のクラウドシステムが連携して相互作用するメガクラウドこそが未来であると述べています。メガクラウドは次世代のITインフラストラクチャで、IT部門と業務部門は社内で真の戦略的パートナーシップを構築することに集中し、これまで以上に緊密なコラボレーションを実現しなければなりません。

 

ITのリーダーシップについて、Dell EMCのAPJ担当CIOであるヘマル シャア(Hemal Shah)は、このパートナーシップ アプローチの発展に対する見解を的確にまとめています: 「規模が大きな企業では小規模で自己充足的な専任チームが出現しており、イノベーションに焦点を当てた活動を展開するとともに、アプリケーション開発者やデータ サイエンティスト、またIT部門で他の役割を担っているスタッフに、上級役員と連携して新たな機会を認識するための機会を提供しています」。

 

テクノロジーが進化を続けていく中で、企業は将来出現するトランスフォーメーションの大きな課題に対処できる十分な効率性と俊敏性を確立してメガクラウドの基盤を構築するために、今日、緊密なコラボレーションを構築することに集中する必要があります。

 

新たに出現しているさまざまなテクノロジーは、私たちの生活に信じられないような数多くの変革をもたらすでしょう。このような未来を現実化する上で、クラウドは欠かすことのできない重要な役割を果たします。私たちがクラウドを利用する方法は、急速に変化しつつあります。これらの新しいテクノロジーから真の価値を引き出すためには、このような進化と適切な文化を対にして組み合わせる必要があります。コラボレーションに重点を置くことによって、APJ地域のビジネス リーダーは、それぞれの企業組織をデジタル トランスフォーメーションに向けたより円滑でより高速な軌道に乗せることができるでしょう。