Dellクライアント ソリューションズ グループ担当プレジデント

サム バード(Sam Burd

 

 

テクノロジーの進化のスピードに陰りは見られません。多くの企業や組織が後れを取らないように努力している今日、ビジネスの現場では大きな変化が起こり始め、プロフェッショナルたちはそのインパクトを感じつつあります。オートメーション(自動化)、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などは、現実に起こっていることです。科学、テクノロジー、エンジニアリング、コミュニケーションが急速に発達したことで、テクノロジーは新たな産業革命や「第二の機械時代」と呼ばれる時代になりました。この変化は、あらゆる分野の仕事、また家庭における役割に大きな影響を与えるでしょう。高度なツールとスキルが増加したことによって、いまだ答えが出ていない多くの問題が先送りにされていますが、明らかにビジネスの未来にインパクトを与える大きな変化が5つあります。

 

1) ロボットに昼休みは必要ない
数十年にわたり、ロボットは人がしたくない、またはすべきではない生産活動を行ってきています。反復的な作業、また特別な認知能力や感情的知性を必要としない仕事を人からインテリジェントなマシンに替えることで、企業は労務費を最大90%削減することが可能です。さらに、ロボットには昼休みが必要ないという、もう1つのメリットがあります。PwC社は、英国の仕事の3分の1以上が2030年初めまでに自動化される「高いリスク」があり、米国では今後15年間で現在の仕事の38%がロボットに取って代わられる恐れがあるとしています。人間から仕事を奪うインテリジェント マシンの増加に対する恐れがある一方で、AI(人工知能)やマシン ラーニング(機械学習)、オートメーションによってリソース間の調整能力が向上し、オンデマンド ラーニングによって製造業をはじめとするさまざまな業種の作業構造がリセットされるでしょう。AIを搭載したマシンは基本的な判断能力が高く、経験から学習し、学習した内容を他のAIプログラムと共有します。このためユーザーの信頼性は高くなり、プロセスや日常業務を合理化して向上させながら、相互に利益をもたらす関係を確立することが可能になります。人とは違いロボットには感情的知性がないので、高度なアルゴリズムとともに人はこれまでと変わることなく重要なパートナーとなります。

 

2) 非正規労働の未来
この10年間、米国での雇用の伸びにおいて、契約社員やフリーランス、ライドシェアのドライバー、その他のさまざまな労働形態、いわゆる「ギグ エコノミー(非正規労働市場)」が占める割合は非常に大きくなっています。このように非正規雇用がより広がっていく一方で、仕事の内容は変化するでしょう。例えば自動運転車の場合、有名ないくつかのライドシェア企業は、無人自動車(ロボットカー)の開発に巨額の投資を行っています。このようなテクノロジーの初期的な兆候は認められるものの、しばらくの間は目立ったインパクトは見られないかもしれません。しかし、自動運転車が「非正規雇用」のドライバーに取って代わる時代が来る可能性は非常に高く、これが他のさまざまな専門職の将来に対して持つ意味を人は受け入れなければならないでしょう。ただし、ギグ エコノミーの変化は新たな機会ももたらします。20173月に行ったワークショップにおいてIFTFInstitute for the Future、未来研究所は、現在の人口の85%が2030年に就いている仕事は、まだ出現していないと予測しています。

 

3) 仕事をリアルタイムに可視化
企業は、トレーニングやコラボレーションをはじめとするさまざまな対象の強化にVRARを活用したいと考えています。ARのラーニング リソースへオンデマンドでアクセスできる環境によって、仕事場でのトレーニングに対する期待と実践は大きく変わり、情報への容易なアクセスがリアルタイムの意思決定を支援するでしょう。VRに対応したシミュレーションは、代替的な体験や場所でユーザーを没頭させ、共感を生み出すとともに物理世界と仮想世界が融合した環境の実現を促進するでしょう。例えば、デルは、Nike社、Meta社とパートナーシップを組みVRAR、音声コントロール、デジタル キャンバス、ハプティック技術(触覚技術)を活用することで、デザイナーがそれぞれのビジョンをより自然な方法で創り出せる環境を提供しています。また、コンテンツの作成側では複数のOEM企業が、VRARの本来の価値を最大限に活用するために、ゲーム、エンターテインメント、ビジネスとサービス&サポートにおけるコンテンツの消費にむけたイノベーションに多額の投資を行っています。

 

4) 夢を実現するクラウド
パブリック、プライベート、ハイブリッドなどタイプは異なっても、企業や組織はクラウドに大きな信頼を寄せて利用しており、これからも右肩上がりで推移していくと考えられます。インドの酪農企業Chitale Dairy社は、先日「Cow to cloud(牛からクラウドまで)」というイニシアチブを立ち上げました。このイニシアチブでは、AIとIoTを利用してタグ付けとデータ収集を行い、牛の飼料の変更やワクチン注射など、世話が必要なさまざまな場面で酪農家にアラートを発信します。クラウドは、Chitale Dairy社のようなエンタープライズ企業だけではなく、最終的に顧客にとっても、効率性と収益性の両方でメリットをもたらす最もアジャイルな手段です。企業はクラウドを使いこなすことができるように従業員を教育する必要がありますが、この努力は、タスクの簡素化、時間の節約、事業の戦略分野への集中などを実現して収益を最大化するなど、大きなメリットにつながります。

 

5) バイアスを排除する
人とマシンの協調関係によって、人は感情やバイアス(偏見、先入観)などに干渉されることなく、また最終的には既成概念を排除して情報にアクセスし、これらの情報に基づいて行動できるようになるでしょう。マシン ラーニングによって、採用希望者を評価し、最適な能力を明確化するだけでなく、新しい知識の吸収能力や新しいスキルの学習能力すら明らかにする、採用担当者の能力が高まるでしょう。既存の従業員と採用希望者のどちらも本人の能力のみによって評価され、評価プロセスにおけるバイアスが排除されることで、採用プロセスと日常業務の両方の質が飛躍的に向上するでしょう。

 

このように、今目の前にあるさまざまな変化を常に把握しておくことで、企業も、そこで働く従業員も、今後15年や、さらにその先を見据えて準備を整えることができます。課題やハードルは高くなるかもしれませんが、人はマシンとの協調関係を最大化することによって生じる、未来のテクノロジーのインパクトに基づいて行動しなければなりません。

 

本記事は下記ブログの抄訳版です。
https://www.business.com/articles/five-ways-jobs-will-be-reimagined-in-2030/