こんにちは、SDS製品担当の平原です。

 

さて、EMCSoftware-Defined Storage戦略の中核をなすソフトウェアであるViPR Controller。今年のEMC World 2015ではどんな進化を見せてくれるだろうかと期待された方もいらっしゃったかと思います。しかし、その発表はこれまでとは少し毛色の変わったものでしたね。そう、ViPR Controllerのオープンソース化です。

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ところで、オープンソース化と聞くと、ViPR Controllerの無償化を想像されるかもしれませんが、今回の発表は異なる意味合いがあります。というのも、無償版という意味では、既に我々は商用版ViPR Controllerの全ての機能を試すことができるフリートライアルを提供しているからです。

 

実はこのオープンソース化が発表される以前、2年前のEMC World でのViPR Controller発表時にも「コミュニティ化」というのがキーワードとして語られていました。しかし、それは今日に至るまで目立った進捗が見られなかったのも実状でした。これまでのEMC(正確にはEMC Federationの一社であるEMC II)の文化を考えると、自社のテクノロジーをオープンなコミュニティに出すということにあまりノウハウもなく、社内的にも色々な議論があったのかもしれません。

 

そして、その状況を大きく変えた背景には、ある人物が影響していると私は推測するのです。それは、EMC World 3日目のジェネラルセッションに登壇していた、エマージング・テクノロジー部門バイスプレジデントのランディ・バイアスという人物です。彼は、EMCが昨年買収したOpenStack関連新興企業Cloudscaling社のCEOOpenStackコミュニティのファウンダーでもあった人。いわば、根っからのOSSスピリッツを持ったエンジニアというわけですね。そんな彼がOpenStackでの成功体験に基づいた確固たる信念をEMCに持ち込み、この短期間に社内の文化や思考を変えるほどの影響力を及ぼしたのではないかと。今回の出来事は、EMCのソフトウェアビジネスを根本から変えるエポックメイキングとなるかもしれません。

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さて、このオープンソース版ViPR Controllerプロジェクトは「CoprHD」Copperhead:カッパーヘッドと発音)という名称で、githubから6月を目標にMPL (Mozilla Public License) 2.0に基づいてソースコードが公開される予定です。公開されるソースコードは商用版のViPR Controllerから一部の機能を取り除いたものとなりますが、これらはEMCとのオンラインサポート、ライセンス管理およびソフトウェアの自動アップデート機能といったものですので、ViPR Controllerの核となる機能は全て公開されると考えて良いでしょう。

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では、公開されるソースコードの中で特にコミュニティによる開発が期待される部分はどこでしょう?それは、ViPR Controllerのインターフェース領域である、Northbound APISouthbound APIになるでしょう。Northbound APIはオーケストレータや各種アプリケーションと連携した新たなデータサービスの開発、Southbound APIEMCの開発リソースだけではフォローしきれなかったストレージ機種の対応追加が期待されます。もちろん、この他の部分でも利用者目線で画期的なイノベーションがもたらされることをEMCは大きな期待を持っています。

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そして、大事なことは、このプロジェクトにおいて意味するオープンソース化というのは、単なる無償化ではなく「開発モデル」そのものであるということです。すなわち、コミュニティ内で改修・新たに開発されたソースコードは適切にコミットされ、次のバージョンのソースコードに新機能として取り込まれていくことになります。この機能をコミットするためのプロセスや、どのようにコミットに関与するメンバーを選定するのかなど、開発の中立性やガバナンス担保のための細かな議論も6月の公開時期までにはクリアになっているはずです。

また、EMCもこのソースコードをベースに商用版としてViPR Controllerを継続して開発・販売していきます。商用版はテクニカルサポートサービスとの一体化やEMCが開発したプラグインソフトウェアの利用権といった部分で差別化を図りながら、お客様に最適な選択肢を提供していくことになります。

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それにしても、私はこの発表に非常にワクワクしています。日頃、私はViPR ControllerSEとしてお客様と会話の機会が持つことが多いのですが、そこではEMC視点で製品を見ている私にとって、お客様が非常に興味深いアイデアや期待をViPR Controllerに抱いていることにハッとさせられます。その中には、それらアイデアの実現にEMCだけでは困難なことも、他社もしくは他のOSSテクノロジーとの組み合わせでは意外に容易に出来そうかなということがいくつかありました。私は「CoprHD」プロジェクトがそんな利用者の夢を叶えるエコシステム実現の触媒となることを期待したいと思います。今後の「CoprHD」プロジェクトの展開をどうぞお楽しみに!

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関連リンク

CoprHD公開予定サイト (Github) 

http://coprhd.github.io/

 

Randy Biasblog記事

http://www.cloudscaling.com/blog/cloud-computing/introducing-coprhd-copperhead-the-cornerstone-of-a-software-defined-future/